変数分離形の1階常微分方程式:解法と例題・一般解と特殊解【微分方程式】

【この記事の概要】

変数分離形の1階常微分方程式の解き方を説明し,例題について一般解と特殊解を求めます.

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変数分離形の1階常微分方程式とは

正規形(normal form)の1階常微分方程式

(1)   \begin{equation*} \frac{dy}{dt} = \psi(t,y) \end{equation*}

について,この右辺が独立変数と従属変数のそれぞれの関数の積として書けるとき,すなわち,式(1)が

(2)   \begin{equation*} \frac{dy}{dt} = f(t)g(y) \end{equation*}

と書けるとき,この1階常微分方程式の形式を 変数分離形(Separation of variables) という.

1階常微分方程式の定義と主な形式一覧

2019年6月25日

変数分離形の1階常微分方程式の解法

変数分離形の1階常微分方程式(2)について,g(y)=0 のとき,

(3)   \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dt} &=& 0 \\ \therefore \int \frac{dy}{dt} dt&=& C_0 \\ y(t) &=& C_0 \end{eqnarray*}

となる.ただし C_0 は積分定数である.

また,g(y)\not=0 のとき,式(2)は

(4)   \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dt} &=& f(t)g(y) \\ \frac{1}{g(y)}\frac{dy}{dt} &=& f(t) \\ \frac{1}{g(y)} dy &=& f(t) dt\\ \therefore \int \frac{1}{g(y)} dy &=& \int f(t) dt + C_1\\ \end{eqnarray*}

となる.

さらに,式(4)の左辺および右辺のそれぞれの積分を実行したのち,y について解くと,不定定数 C_1 を含んだ t の関数族

(5)   \begin{equation*} y=y(t\, ; \, C_1) \end{equation*}

が得られる.これを微分方程式(2)の一般解という.

さらに,初期条件として,tyの具体的な値の組(t_0,y_0)が与えられたとき,

(6)   \begin{equation*} y_0=y(t_0) \end{equation*}

を満たすように C_1 の値を決めて得られる t の関数を,初期条件 (t_0,y_0) の下での特殊解あるいは特解という.

変数分離形の1階常微分方程式の例題

変数分離形の1階常微分方程式の一般解を求める

変数分離形の1階常微分方程式

(7)   \begin{equation*} \frac{dy}{dt} = \frac{y+1}{t+1} \end{equation*}

の一般解は,以下の手順により求まる.

(8)   \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dt} &=& \frac{y+1}{t+1}\\ \frac{1}{y+1}dy &=& \frac{1}{t+1}dt\\ \int \frac{1}{y+1}dy &=& \int \frac{1}{t+1}dt + C_1\\ \ln{(y+1)} &=& \ln{(t+1)} + C_1\\ \ln{(y+1)} &=& \ln{(t+1)} + C_1\ln e\\ \ln{(y+1)} &=& \ln{(t+1)} + \ln e^{C_1}\\ \ln{(y+1)} &=& \ln{C(t+1)} \quad (C:=e^{C_1})\\ y+1 &=& C(t+1) \\ y &=& C(t+1)-1 \end{eqnarray*}

これにより,与式の一般解

(9)   \begin{equation*} y = C(t+1)-1 \end{equation*}

を得る.

変数分離形の1階常微分方程式の特殊解を求める

前節で求めた一般解(9)に対し,

(10)   \begin{equation*} y(1)=2 \end{equation*}

なる初期条件を満たす特殊解を求めよう.

一般解(9)に初期条件(10)を代入すると

(11)   \begin{eqnarray*} 2 &=& C(1+1)-1 \\ 2C &=& 3 \\ C &=& \frac32 \end{eqnarray*}

を得る.これを再び(9)式に代入することにより,条件(10)の下での特殊解

(12)   \begin{equation*} y = \frac32 t + \frac12 \end{equation*}

を得る.

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