ニュートンの運動方程式の公式(定義)と例題【古典力学】

ニュートンの運動方程式の定義,例題とその解法を示します.

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ニュートンの運動方程式の定義と意味

ニュートンの運動方程式の定義

古典力学(classical mechanics)において,m を質点(point mass)の質量,t を時刻(質点の初期状態が与えられた時刻(t=0)からの経過時間),{\bf r}(t) を時刻 t における質点の位置(位置ベクトル),{\bf F} を質点にかかる力(外力)とする.このとき,以下のような,{\bf r}(t) に関する2階常微分方程式(second-order ordinary differential equation)

(1)   \begin{equation*} m \, \frac{d^2 \, {\bf r}(t)}{dt^2} = {\bf F} \end{equation*}

を,ニュートンの運動方程式(Newtonian Equation of motion)という(以下,本記事で単に 運動方程式 と書いたときには,ニュートンの運動方程式(1)を意味するものとする).

ニュートンの運動方程式の解

運動方程式を解く(solve)とは,対象とする系(system)に合わせて,外力 {\bf F} を 定数 あるいは t, \frac{d^2 \, {\bf r}(t)}{dt^2}, \frac{d \, {\bf r}(t)}{dt}, \, {\bf r}(t) などに関する関数として与え,2階常微分方程式(1)に代入し,時間の関数 {\bf r}(t) の具体形を得ることである.

また,運動方程式の解(solution) {\bf r}(t) とは,時刻 t に関する関数(族)として得られる,質点の位置である.

なお,定数係数2階常微分方程式の一般的な解法については,以下の記事を参照のこと.

2階線形常微分方程式の解き方・一般解の求め方:同次(斉次)・定数係数の場合【微分方程式】

2019年6月6日

ニュートンの運動方程式の意味

位置の時間に関する2階微分 \frac{d^2 \, {\bf r}(t)}{dt^2} は加速度である.ニュートンの運動方程式は,「質量 m の物体(質点)に力 {\bf F} を加えると,その物体に \frac{d^2 \, {\bf r}(t)}{dt^2} の加速度が生じる」という因果関係を意味している.

運動方程式とニュートンの運動法則

ニュートンの運動法則(Newton’s laws of motion)は,第1法則(慣性の法則(Newton’s first law of motion / the law of inertia)),第2法則(Newton’s second law of motion),および第3法則(作用・反作用の法則(Newton’s third law of motion / the law of action and reaction))の3法則であるが,ニュートンの運動方程式は,このうちの第2法則に対応する.

時間微分の記法:ニュートンの記法

一般に,関数 f(x) の1階微分,2階微分,…,n階微分(n>2)は,それぞれ

(2)   \begin{equation*} f'(x),f"(x),...,f^{(n)}(x) \end{equation*}

あるいは

(3)   \begin{equation*} \frac{d f(x)}{dx},\frac{d^2 f(x)}{dx^2},...,\frac{d^n f(x)}{dx^n}   \end{equation*}

などと書かれる.(2),(3) の微分記法は,それぞれラグランジュの記法(Lagrange’s notation),ライプニッツの記法(Leibniz’s notation)という.

これに対して,

(4)   \begin{eqnarray*} \dot{\bf r}(t) &:=& \frac{d \, {\bf r}(t)}{dt} \\  \ddot{\bf r}(t) &:=& \frac{d^2 \, {\bf r}(t)}{dt^2}  \end{eqnarray*}

のように,従属変数の上部にドット「・」「・・」を付して,それぞれ1階微分,2階微分を表す記法をニュートンの記法(Newton’s notation)という.

ニュートンの記法は,主に物理学や工学において,時間微分を表すために用いられる.

古典力学系の状態:位置・速度・加速度

速度と速さの定義と表記

t を時刻(質点の初期状態が与えられた時刻(t=0)からの経過時間),{\bf r}(t) を時刻 t における質点の位置として,t における単位時間あたりの変位

(5)   \begin{equation*} {\bf v}(t) := \dot{\bf r}(t)}  \end{equation*}

速度(velocity)という.また,速度のノルム(速度ベクトルの大きさ・絶対値)

(6)   \begin{equation*} v := ||{\bf v}|| \end{equation*}

速さ(speed)という.

定義より,速度は向きと大きさを持つベクトル量であり,速さは非負の大きさのみを持つスカラー量である.

加速度の定義と表記

時刻 t における単位時間あたりの速度 {\bf v}(t) の変化

(7)   \begin{equation*} {\bf a}(t) := \dot{\bf v}(t)}  \end{equation*}

加速度(acceleration)という.また,式(5)および式(7)より,加速度は位置の時間に関する2階微分

(8)   \begin{equation*} {\bf a}(t) = \ddot{\bf r}(t)}  \end{equation*}

として書くこともできる.

速度の時間積分と変位

時刻 t_0 に位置 {\bf r}(t_0) を出発し,速度 {\bf v}(t) で運動して,時刻 t_1\,(t_0<t_1) に位置 {\bf r}(t_1) に到着する質点の変位(質点の位置の変化){\bf r}(t_1) - {\bf r}(t_0) は,以下のような速度 {\bf v}(t) の時間積分によって,それぞれの量が関連付けられる.すなわち,定義(5)の両辺を t で積分することにより,

(9)   \begin{eqnarray*} \int_{t_0}^{t_1} {\bf v}(t) dt  &=& \int_{t_0}^{t_1} \dot{\bf r}(t) dt \\ &=& \big[ \, {\bf r}(t) \, \big]_{t_0}^{t_1} \\ &=& {\bf r}(t_1) - {\bf r}(t_0) \end{eqnarray*}

となる.

式(9)を模式的に図示すると上図のようになる.すなわち,式(9)は,各時刻 t\,(t_0<t<t_1) における速度 {\bf v}(t) を積分する(=区分求積的に足し上げる)ことと,変位{\bf r}(t_1) - {\bf r}(t_0)(=「始点 {\bf r}(t_0) と終点 {\bf r}(t_1) の差分」)が等しいことを意味する.

運動方程式と質点の状態

古典力学系において,時刻 t における質点の状態(state)は,位置 {\bf r}(t),速度 {\bf v}(t),加速度 {\bf a}(t) によって記述される.

速度や加速度は,位置の微分として定義されるが,これらの定義自体はニュートンの運動方程式に依存するものではない.

質量 m の物体(質点)に外力 {\bf F} を加えると,その物体に \ddot{\bf r}(t) の加速度が生じる.その時間的な累積(=積分)を通して,物体(質点)の速度と位置は,時々刻々と変化する.

運動方程式の外力項に具体的な関数形を与え,2階微分方程式を解くことにより,時刻 t における質点の状態を知ることができる.

ニュートンの運動方程式の例題

ニュートンの運動方程式(1)について,位置 {\bf r}(t) および 外力 {\bf F} の次元を具体的に決めた際には,以下のように要素を書き下した式が得られる.

直線運動の場合: 位置を x(t),外力を F_x とする直線運動を記述するニュートンの運動方程式は

(10)   \begin{equation*} m \, \frac{d^2 \, x(t)}{dt^2} = F_x \end{equation*}

あるいは

(11)   \begin{equation*} m \, \ddot {x}(t) = F_x \end{equation*}

などと書ける.

2次元空間中の運動の場合: 位置および外力を

(12)   \begin{equation*} {\bf r}(t)= \left( \begin{array}{c} x(t)\\ y(t) \end{array} \right) \, , {\bf F} =  \left( \begin{array}{c} F_x\\ F_y \end{array} \right) \end{equation*}

とする2次元空間中の運動を記述するニュートンの運動方程式は

(13)   \begin{equation*} m \, \frac{d^2}{dt^2}  \left( \begin{array}{c} x(t)\\ y(t) \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} F_x\\ F_y \end{array} \right) \end{equation*}

あるいは

(14)   \begin{equation*} m \,  \left( \begin{array}{c} d^2  x(t) / dt^2 \\ d^2  y(t) / dt^2 \end{array} \right) &=&  \left( \begin{array}{c} F_x\\ F_y \end{array} \right)\\ \end{equation*}

あるいは

(15)   \begin{equation*} m \,  \left( \begin{array}{c} \ddot{x}(t) \\ \ddot{y}(t) \end{array} \right) &=&  \left( \begin{array}{c} F_x\\ F_y \end{array} \right)\\ \end{equation*}

などと書ける.さらに,実際に運動方程式を解く際には,x 軸,y 軸のそれぞれに書き分けた方程式系

(16)   \begin{eqnarray*} m \, \ddot{x}(t) &=& F_x \, , \\ m \, \ddot{y}(t) &=& F_y \end{eqnarray*}

として計算を進める.

質点の静止と等速直線運動

重力や空気抵抗などの外力がない場合の,質点の運動を考える.すなわち

(17)   \begin{equation*} F_x = 0 \end{equation*}

とする.運動方程式は x 軸方向のみの1次元を考えれば十分である.式(11)に式(\refeq{3-1-001})を代入すれば,運動方程式

(18)   \begin{equation*} m \, \frac{d^2 \, x(t)}{dt^2} = 0  \end{equation*}

を得る.辺々 m で割って

(19)   \begin{equation*} \frac{d^2 \, x(t)}{dt^2} = 0 \end{equation*}

上式を t で積分すると

(20)   \begin{eqnarray*} \int \frac{d^2 \, x(t)}{dt^2} dt &=& v_0 \\ \Leftrightarrow \qquad \frac{d \, x(t)}{dt} \quad &=& v_0 \end{eqnarray*}

となる.ただし,v_0 は任意の積分定数である.さらにもう一度,式(20)を t で積分すると

(21)   \begin{eqnarray*} \int \frac{d \, x(t)}{dt} dt &=& v_0 \, t + x_0\\ \Leftrightarrow \qquad x(t) \quad &=& v_0 \, t + x_0 \end{eqnarray*}

を得る.ただし,x_0 は任意の積分定数である.

この結果は,ニュートンの第1法則(慣性の法則:「質点は,力が作用しない限り,静止または等速直線運動する」)と整合する.第1法則が成り立つような座標系を慣性系またはガリレイ系という.

質点の鉛直投げ上げ運動

(22)   \begin{equation*} F=-g \end{equation*}

質点の放物運動

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