標本平均と不偏分散が不偏推定量であることを証明します.この証明を通して,不偏分散の定義式にn-1が現れる原因を知ることができます.
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標本平均と不偏分散はそれぞれ母平均と母分散の不偏推定量である
個のiid確率変数
について,
(i) 標本平均は母平均の不偏推定量である
(1)
(2)
に対する不偏推定量である.
(ii) 不偏分散は母分散の不偏推定量である
(3)
(4)
に対する不偏推定量である.
証明
(i) 標本平均の不偏性
(5)
よって標本平均は母平均の不偏推定量である.
(ii) 不偏分散の不偏性
不偏分散の定義(3)は
(6)
のように変形できる.(6)式の期待値をとると
(7)
を得る.(7)式のおよび
は,それぞれ以下のように計算できる.
に注意すると,
は
(8)
となる.また,上式(8),および,はそれぞれiid確率変数であることにより
(9)
(10)
(11)
となる.よって不偏分散は母分散
の不偏推定量である.
Remark
1.
統計量がパラメータ
の不偏推定量であるとは,
について
(12)
が成り立つことである.
統計的推定,点推定値,推定量の定義と意味【統計学】
統計量(statistic)の定義と意味について【統計学】
2.
一般に,互いに独立な確率変数,
について
(13)
が成り立つので,iid確率変数について
(14)
が成り立つ.
なお,下記の記事にある通り,「和の期待値」=「期待値の和」を示すために,確率変数の独立性を仮定する必要はない.
(13)式は確率変数X, Yが独立でなくても成立します。
ふぉとん様
はい,ご指摘の通りです.
私も自分で「独立性の仮定は不要」の記事を書いていますよね・・・.
↓
https://k-san.link/linearity-of-expectation/
ありがとうございます.