線形写像および線形空間の同型の定義

【この記事の概要】

線形写像(線形作用素)の定義,および 線形空間における同型写像および同型の定義を述べます.

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線形写像(線形作用素)の定義

線形写像(線形作用素)の定義
{\bf V}{\bf W} を,係数体 K 上のベクトル空間(線形空間)とする.{\bf V} から {\bf W} への写像

(1)   \begin{equation*} T:{\bf V} \to {\bf W} \end{equation*}

が,^\forall a \in K\; ^\forall{\bf x},{\bf y}\in {\bf V} に対して,次の2つの条件

(2)   \begin{equation*} T({\bf x}+{\bf y})=T({\bf x})+T({\bf y}) \end{equation*}

(3)   \begin{equation*} T(a{\bf x})=aT({\bf x}) \end{equation*}

を満たすとき,T{\bf V} から {\bf W} への 線形写像(linear mapping) あるいは 線形作用素(linear operator) という.

ベクトル空間(線形空間)の詳細については,以下の記事を参照のこと.

ベクトル空間(線形空間)および計量ベクトル空間(内積空間)の定義と公理【線形代数】

2021年2月9日

線形変換の定義

線形写像 T の定義域(domain) と終域(codomain) が同一である場合,すなわち T{\bf V} から {\bf V} への線形写像

(4)   \begin{equation*} T:{\bf V} \to {\bf V} \end{equation*}

である場合,特にこれを 線形変換(linear transformation) ということがある.

ただし,定義域と終域が異なる,一般の線形写像(線形作用素)を,線形変換と呼んでいる場合もしばしばあり,文脈によって判断する必要はある.

線形空間の同型写像および同型の定義

線形空間の同型写像および同型の定義
{\bf V}{\bf W} を体 K 上のベクトル空間とし,T:{\bf V}\to {\bf W} を線形写像とする.

T が全単射であるとき,T{\bf V} から {\bf W} の上への 同型写像(isomorphism),あるいは {\bf V}{\bf W} との間の同型対応 という.

また,{\bf V} から {\bf W} への同型写像が存在するとき,{\bf V}{\bf W} とは互いに同型である(isomorphic) といい,

(5)   \begin{equation*} {\bf V}\cong{\bf W} \end{equation*}

と表す.

なお,上の定義は「線形空間の同型写像および同型」であり,同型写像および同型の概念は,代数系の上の全単射準同型写像として,線形空間に限らない形に一般化することができる.

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