関数の線形独立の証明とロンスキアン(ロンスキー行列式)

ロンスキアン(ロンスキー行列式)を用いた,関数の線形従属・線形独立(1次従属・1次独立)の証明について説明します.

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2つの微分可能な関数に対して,ロンスキアンは次のように定義される.

ロンスキアン(ロンスキー行列式)の定義

(定義1)ロンスキアン(ロンスキー行列式):2関数の場合
区間 I 上で定義された微分可能な関数 f(x), g(x) に対して,

(1)   \begin{equation*} W(f,g)(x):= \left| \begin{array}{cc} f(x) & g(x) \\ f'(x)  & g'(x) \\ \end{array} \right| \end{equation*}

なる行列式で定義される I 上の関数 W(f,g)(x) を,ロンスキアン(Wronskian)あるいはロンスキー行列式(Wronski determinant)という.

より一般には,n個の微分可能な関数に対して,ロンスキアンは次のように定義される.先の定義1は,次の定義2で n=2 としたものとなる.

(定義2)ロンスキアン(ロンスキー行列式):n関数の場合
区間 I 上で定義された n-1 階微分可能な n個の関数 f_1(x),f_2(x),..., f_n(x) に対して,

(2)   \begin{equation*} W(f_1,f_2,...,f_n)(x):= \left| \begin{array}{cccc} f_1(x) & f_2(x) & ... & f_n(x) \\ f'_1(x) & f'_2(x) & ... & f'_n(x) \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ f_1^{(n-1)}(x) & f_2^{(n-1)}(x) & ... & f_n^{(n-1)}(x) \\ \end{array} \right| \end{equation*}

なる行列式で定義される I 上の関数 W(f_1,f_2,...,f_n)(x) を,ロンスキアン(Wronskian)あるいはロンスキー行列式(Wronski determinant)という.

ロンスキアン(ロンスキー行列式)と関数の線形独立・線形従属の関係

関数 f(x), g(x) の線形独立性・線形従属性と,それらのなすロンスキアン W(f,g) には,次の関係がある.

(命題)関数の線形独立・線形従属とロンスキアンの関係
f(x), g(x) を区間 I 上で定義された微分可能な関数とする.任意の x\in I に対して,次の命題が成り立つ.

  • (命題1) fg は線形従属 ⇒ W(f,g)= 0
  • (命題2) W(f,g)\not= 0fg は線形独立
この命題より,2つの関数が線形独立であることを示すためには,それらのロンスキアンが0でないことを示せばよいことがわかる.

なお,これら2つの命題は,互いに対偶の関係にあり,同値であるから,証明はどちらかを示せば十分である.以下に命題1を示す.

(証明:命題1)f と g は線形従属 ⇒ W(f,g) = 0

fg は線形従属

    \begin{equation*}  f \text{ and } g \text{ are linearly dependent. } \end{equation*}

    \begin{eqnarray*} :\Leftrightarrow & \quad f(x) =& cg(x) \quad (^{\exists}c\not=0 \text{ is a constant.})\\ \Rightarrow & \quad W(f,g)(x) =& W(cg,g)(x) \\ &\qquad \qquad \qquad =& \left| \begin{array}{cc} cg(x) & g(x) \\ cg'(x)  & g'(x) \\ \end{array} \right| \\ &\qquad \qquad \qquad =& cg(x)\cdot g'(x) - cg'(x) \cdot g(x) = 0 \\ \Rightarrow & W(f,g) =& 0 \\ \blacksquare && \label{eq03} \end{eqnarray*}

ベクトルと関数の線形従属・線形独立の定義と意味

2019年6月13日

sin(正弦)とcos(余弦)が線形独立であることの証明

2つの関数が線形独立であることを証明する例題として,前節の命題1を用いて次の命題を示す.

(命題)sin(正弦)とcos(余弦)の線形独立性
\sin \omega x\cos \omega x(ただし ^{\forall}x\in \mathbb{R}\omega \not= 0 は定数)は互いに線形独立である.
(証明)
\sin \omega x\cos \omega x について,ロンスキアン W

(3)   \begin{eqnarray*} W(\sin \omega x , \cos \omega x ) &=& \left| \begin{array}{cc} \sin \omega x & \cos \omega x \\ \omega \cos \omega x & - \omega \sin \omega x  \end{array} \right|\\ &=& -\omega \sin ^2 \omega x - \omega \cos ^2 \omega x \\ &=& -\omega \left( \sin ^2 \omega x +  \cos ^2 \omega x \right) \\ &=& -\omega \not= 0 \end{eqnarray*}

と計算できる.すなわち ^{\forall}x\in \mathbb{R} において W(\sin \omega x , \cos \omega x )\not= 0 であるから,\sin \omega x\cos \omega x は互いに線形独立である.
\blacksquare

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