指数関数のテイラー展開とマクローリン展開の計算・証明

指数関数 e^{ax} および e^x の,テイラー展開とマクローリン展開の計算方法を示します.

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指数関数のテイラー展開とマクローリン展開

変数 x \in \mathbb{R},パラメータ a の指数関数(exponential function)

(1)   \begin{equation*} f(x)=e^{ax} \end{equation*}

および 変数 x の指数関数

(2)   \begin{equation*} f(x)=e^{x} \end{equation*}

のマクローリン級数展開(Maclaurin series expansion)は,それぞれ以下の通りである.

指数関数のマクローリン展開

(3)   \begin{eqnarray*} e^{ax} &=& 1 + ax + \frac{a^2}{2!}x^2 + \cdots + \frac{a^n}{n!}x^n + \cdots\\ &=& \sum_{k=0}^{\infty}\frac{a^k}{k!}x^k \end{eqnarray*}

特に,a=1 のとき

(4)   \begin{eqnarray*} e^{x} &=& 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \cdots + \frac{x^n}{n!} + \cdots\\ &=& \sum_{k=0}^{\infty}\frac{x^k}{k!} \end{eqnarray*}

また,指数関数(1)および(2) の,点 x=x_0 の周りでのテイラー級数展開(Taylor series expansion)は,それぞれ以下の通りである.

指数関数のテイラー展開

(5)   \begin{eqnarray*} e^{ax} &=& e^{ax_0} + ae^{ax_0}(x-x_0) + \frac{a^2 e^{ax_0}}{2!}(x-x_0)^2 + \cdots + \frac{a^n e^{ax_0}}{n!}(x-x_0)^n + \cdots\\ &=& \sum_{k=0}^{\infty}\frac{a^k e^{ax_0}}{k!}(x-x_0)^k \end{eqnarray*}

特に,a=1 のとき

(6)   \begin{eqnarray*} e^{x} &=& e^{x_0} + e^{x_0}(x-x_0) + \frac{e^{x_0}}{2!}(x-x_0)^2 + \cdots + \frac{e^{x_0}}{n!}(x-x_0)^n + \cdots\\ &=& \sum_{k=0}^{\infty}\frac{e^{x_0}}{k!}(x-x_0)^k \end{eqnarray*}

なお,マクローリン展開とは,原点 x=0 におけるテイラー展開と同義である.すなわち,テイラー級数(5)および(6) は,x_0=0 とすることにより,マクローリン級数(3)および(4) に帰着する.

また,パラメータ a のない 式(4) および 式(6) については,式(3) および 式(5) で a=1 のようにする他,y:=axy_0:=ax_0 などとして,e^y を マクローリン展開(cf. x=0 \Rightarrow y=ax=0)あるいは テイラー展開しても,同様の結果を得られ,パラメータの有無による齟齬がないことがわかる.

指数関数のテイラー展開の計算

指数関数のマクローリン展開(3),(4),および テイラー展開(5),(6)を,テイラー級数の一般式から計算する.

一般に,関数 f(x) の,点 x=x_0 \in \mathbb{R} の周りでのテイラー級数展開は

(7)   \begin{eqnarray*} f(x) &=& f(x_0) + f'(x_0)(x-x_0) + \frac{f''(x_0)}{2!}(x-x_0)^2 + \cdots + \frac{f^{(n)}(x_0)}{n!}(x-x_0)^n + \cdots\\ &=& \sum_{k=0}^{\infty}\frac{f^{(k)}(x_0)}{k!}(x-x_0)^k \end{eqnarray*}

である.ただし,各項の係数は,関数 f の点 x=x_0 における n 階微分係数

(8)   \begin{equation*} f^{(n)}(x_0)=\left \frac{d^n f(x)}{dx^n}\right|_{x=x_0} \end{equation*}

である.また,一般に,関数 f(x) のマクローリン級数展開(すなわち 原点 x=0 \in \mathbb{R} の周りでのテイラー級数展開)は

(9)   \begin{eqnarray*} f(x) &=& f(0) + f'(0)x + \frac{f''(0)}{2!}x^2 + \cdots + \frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n + \cdots\\ &=& \sum_{k=0}^{\infty}\frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k \end{eqnarray*}

である.ただし,各項の係数は,関数 f の原点 x=0 における n 階微分係数

(10)   \begin{equation*} f^{(n)}(0)=\left \frac{d^n f(x)}{dx^n}\right|_{x=0} \end{equation*}

である.

さて,指数関数 f(x)=e^{ax}k 階微分係数(k=0,1,2,...n,...)は,

(11)   \begin{eqnarray*} && f(x_0)=e^{ax_0} \\ && f'(x_0)=ae^{ax_0} \\ && f''(x_0)=a^2 e^{ax_0} \\ && \vdots \\ && f^{(n)}(x_0)=a^n e^{ax_0} \\  && \vdots  \end{eqnarray*}

であるから,これを式(11)に代入すれば,指数関数(1)の x=x_0 でのテイラー展開(5)を得る.

また,式(5)において,a=1 とすれば,指数関数(2)の x=x_0 でのテイラー展開(6)を得る.

さらに,テイラー展開(5)および(6)において,原点周りでの展開(x_0=0)とすれば,マクローリン展開(3)および(4)を得る.

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