合成関数の微分法,積の微分法,商の微分法について,公式とその証明を示します.
導関数の定義と連続関数の定義を用います.商の微分は,合成関数の微分と積の微分を組み合わせることで導くことができます.
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合成関数の微分・積の微分・商の微分の公式
合成関数の微分
合成関数の微分法(derivative of a composite function あるいは chain rule)として,
(1)
(2)
が成り立つ.ただし,記号「 」は関数の合成(conposition of functions)を表し,「 」は積を表す.
積の微分
積の微分法(product rule of derivatives)として,
(3)
(4)
が成り立つ.
商の微分
商の微分法(quotient rule of derivatives)として,
(5)
(6)
が成り立つ.
証明の準備:関数の連続性と微分可能性
合成関数の微分法(式(1) あるいは 式(2)),積の微分法(式(3) あるいは 式(4)),商の微分法(式(5) あるいは 式(6))を証明するための準備として,関数の連続性(実数値関数の各点連続)および 微分可能性 を定義しておく.
(8)
が存在するとき,関数 は 上の点 で微分可能である(differentiable at point ) という.
上記の定義より「関数 が 点 で微分可能ならば,点 で連続である」は,以下の通り示せる.
(9)
合成関数の微分法の証明
[証明]および を連続で微分可能な関数とする.これらの合成関数 の微分は,
(10)
となる.ただし とし,また の引数を省略した(すなわち ).これらにより である.さらに, が連続であることから
(11)
である.これにより, であること注意すると,式(10)は
(12)
となり,式(1) および 式(2)が示された.
[証明終わり]
積の微分法の証明
[証明]および を連続で微分可能な関数とする.これらの積 の微分は,
(13)
となる.すなわち,式(3) および 式(4)が示された.
[証明終わり]
商の微分法の証明
[証明]および を連続で微分可能な関数とし, とする.
これらの商 の微分は, と の積の微分に他ならない.したがってまず,合成関数の微分法(1)を用いて, の微分を求めておく.
(14)
次に,積の微分法(3)を用いて, の微分を求める.
(15)
ここに,式(14)を代入すると,
(16)
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