【スマホでの数式表示について】
定義:推定,点推定値,推定量
母集団や分布を特徴づけるパラメータを,個の標本から得た観測値や個のiid確率変数を引数とする関数によって予想することを推定(estimation)あるいは統計的推定(statistical estimation)という.
パラメータを観測値を引数とする関数によって推定するとき,この値を
(1)
のようにを付けてと書き,これをの点推定値(point estimate)あるいは単に推定値(estimate)という.
標本を表す個のiid確率変数を引数とする関数を統計量(statistic)というが,関数(1)の引数をiid確率変数とした統計量
(2)
をパラメータの推定量(estimator)という.
推定値と推定量の関係
確率変数の関数は確率変数なので,一般に統計量は確率変数である.したがって,パラメータの推定量(すなわち(2))もまた確率変数である.他方,パラメータの推定値(すなわち(1))は特定の実数値であるが,その引数を確率変数の実現値であると考えれば,推定値を推定量の実現値であるとみなすことができる.
推定値と推定量の例
例1:確率分布のパラメータ推定
ある確率分布に従う確率変数の期待値(expected value)がであるとする.また,この分布に関するiid確率変数列をとし,それらの実現値をとする.このとき,の推定量はの標本平均
(3)
であり,の推定値はの標本平均
(4)
である.の推定量は確率変数であり,の推定値はその実現値である.
例2:母集団のパラメータ推定
ある母集団(population)の母平均(population mean)がであるとし,母集団から得られた個の標本をとする.また,これらの観測値をiid確率変数の実現値であるとみなすことにする.このとき,の推定値はの標本平均
(5)
であり,の推定量はの標本平均
(6)
である.の推定量は確率変数であり,の推定値はその実現値である.
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