「互いに独立なポアソン確率変数の和は,再びポアソン分布に従うこと」,すなわち,ポアソン分布が再生性を持つことを証明します.ポアソン分布の畳み込み計算の詳細を示します.
【スマホでの数式表示について】
ポアソン分布の再生性 (reproductive property of Poisson distribution)
(1) ![]()
に従うとき,これらの確率変数の和
は
(2) ![]()
なるポアソン分布に従う.すなわち,ポアソン分布は再生性を持つ.□
関連ページ:
確率分布の再生性とは何か
確率分布の和の分布を計算する
正規分布の再生性の証明
アーラン分布の再生性の証明
ガンマ分布の再生性の証明
証明(ポアソン分布の再生性)
互いに独立な2つの確率変数の和の確率分布は,もとの確率分布関数の畳み込み(convolution)を計算することで求められる[Point 1].すなわち
(3) ![]()
式(2)は,式(3)の右辺を計算することで求められる.式(3)の
,
を具体的に書くと
(4) ![]()
さらに,
に依存しない定数を
の外に出す:
(5) ![]()
分母にある階乗の項(
)をうまく処理するために右辺の分母と分子に
をかける:
(6) ![]()
これによって,上式は組合せ(combination)
(7) ![]()
を使って
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のように書ける.ここに二項定理(binomial theorem)
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を用いると
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を得る.すなわち,パラメータが各々
である2つのポアソン確率変数の和の確率分布は,パラメータ
のポアソン分布となる.■
Point 1
非負整数の集合を
で表すことにする.ある非負整数
に対して,
を満たすような2つの非負整数の組
の集合を
(11) ![]()
とすると,和の分布は
(12) ![]()
となり,畳み込みで計算されることが分かる.
Point 2
個の中から
個を取り出す組合せ
は
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で定義される.
Point 3
二項定理は
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なる等式である.数学的帰納法によってこの等式が成り立つことを証明できる.
Remark 1
ポアソン分布の他にも,正規分布,コーシー分布,ガンマ分布,アーラン分布,カイ二乗分布,二項分布などは再生性を持つ.


テキストの証明が3行で終わっていてわからずに困っていたので助かりました。
なしもち 様
お役に立って何よりです!(^^)