ポアソン分布の和の計算:再生性の証明 ・和の分布と畳み込み【確率論】

「互いに独立なポアソン確率変数の和は,再びポアソン分布に従うこと」,すなわち,ポアソン分布が再生性を持つことを証明します.ポアソン分布の畳み込み計算の詳細を示します.

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ポアソン分布の再生性 (reproductive property of Poisson distribution)

ポアソン分布の再生性
互いに独立な確率変数X_1, X_2が,それぞれパラメータ\lambda_1,\lambda_2のポアソン分布(Poisson distribution)

(1)   \begin{equation*} \Pr(X_i=x_i) = P_{X_i}(x_i) = \frac{(\lambda_i)^{x_i}}{x_i!} e^{-\lambda_i} \qquad (i = 1,2)  \end{equation*}

に従うとき,これらの確率変数の和Y= X_1 + X_2

(2)   \begin{equation*} \Pr(Y=y) = P_Y(y) = \frac{(\lambda_1 + \lambda_2)^{y}}{y!} e^{-(\lambda_1+\lambda_2)}  \end{equation*}

なるポアソン分布に従う.すなわち,ポアソン分布は再生性を持つ.□

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証明(ポアソン分布の再生性)

互いに独立な2つの確率変数の和の確率分布は,もとの確率分布関数の畳み込み(convolution)を計算することで求められる[Point 1].すなわち

(3)   \begin{equation*} P_Y(y) = \sum^{y}_{x_1=0} P_{X_1}(x_1)P_{X_2}(y-x_1).  \end{equation*}

式(2)は,式(3)の右辺を計算することで求められる.式(3)のP_{X_1}(x_1)P_{X_2}(y-x_1)を具体的に書くと

(4)   \begin{equation*} P_Y(y) = \sum^{y}_{x_1=0} \left( \frac{\lambda_1^{x_1}}{x_1!}e^{-\lambda_1} \cdot \frac{\lambda_2^{y-x_1}}{(y-x_1)!}e^{-\lambda_2} \right) . \end{equation*}

さらに,x_1に依存しない定数を\sumの外に出す:

(5)   \begin{equation*} P_Y(y) = e^{-(\lambda_1+\lambda_2)} \sum^{y}_{x_1=0} \frac{\lambda_1^{x_1}\lambda_2^{y-x_1}}{x_1!(y-x_1)!} \end{equation*}

分母にある階乗の項(x_1!(y-x_1)!)をうまく処理するために右辺の分母と分子にy!をかける:

(6)   \begin{equation*} P_Y(y) = e^{-(\lambda_1+\lambda_2)}\frac{1}{y!} \sum^{y}_{x_1=0} \frac{y!}{x_1!(y-x_1)!}\lambda_1^{x_1}\lambda_2^{y-x_1} \end{equation*}

これによって,上式は組合せ(combination)

(7)   \begin{equation*} _{y}{\rm C}_{x_1}=\frac{y!}{x_1!(y-x_1)!} \end{equation*}

を使って

(8)   \begin{equation*} P_Y(y) = e^{-(\lambda_1+\lambda_2)}\frac{1}{y!} \sum^{y}_{x_1=0} _{y}{\rm C}_{x_1} \lambda_1^{x_1}\lambda_2^{y-x_1} \end{equation*}

のように書ける.ここに二項定理(binomial theorem)

(9)   \begin{equation*} (\lambda_1+\lambda_2)^y = \sum^{y}_{x_1=0} _{y}{\rm C}_{x_1} \lambda_1^{x_1}\lambda_2^{y-x_1} \end{equation*}

を用いると

(10)   \begin{equation*} P_Y(y) = \frac{(\lambda_1 + \lambda_2)^{y}}{y!} e^{-(\lambda_1+\lambda_2)} \end{equation*}

を得る.すなわち,パラメータが各々\lambda_1, \lambda_2である2つのポアソン確率変数の和の確率分布は,パラメータ\lambda_1 + \lambda_2のポアソン分布となる.■

Point 1

非負整数の集合を{\mathbb Z}_+で表すことにする.ある非負整数yに対して,y = x_1 + x_2を満たすような2つの非負整数の組(x_1,x_2)の集合を

(11)   \begin{eqnarray*} U_y &=& \left\{(x_1,x_2) \;|\; y = x_1 + x_2, \;(x_1,x_2) \in {\mathbb Z}_+ \times {\mathbb Z}_+ \right\} \\ &=& \{(0,y),(1,y-1),(2,y-2),\cdots, (y,0) \} \end{eqnarray*}

とすると,和の分布は

(12)   \begin{eqnarray*} P_Y(y) &=& P_Y(x_1 + x_2) \\ &=& \sum_{(x_1,x_2) \in U_y} P_1(x_1)P_2(x_2) \\ &=& P_1(0)P_2(y) + P_1(1)P_2(y-1) + \cdots + P_1(y)P_2(0) \\ &=& \sum^{y}_{x_1=0} P_1(x_1)P_2(y-x_1) \end{eqnarray*}

となり,畳み込みで計算されることが分かる.

Point 2

n個の中からm個を取り出す組合せ_n{\rm C}_m

    \[_n{\rm C}_m = \frac{n!}{m!(n-m)!}\]

で定義される.

Point 3

二項定理は

    \[(a+b)^n = \sum_{m=0}^n {_n{\rm C}_m}a^m b^{n-m}\]

なる等式である.数学的帰納法によってこの等式が成り立つことを証明できる.

Remark 1

ポアソン分布の他にも,正規分布,コーシー分布,ガンマ分布,アーラン分布,カイ二乗分布,二項分布などは再生性を持つ.

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