逆行列補題(Sherman-Morrison-Woodbury 公式)の証明を行います.この補題は,最小二乗法から逐次形最小二乗法(再帰最小二乗フィルタ)を導出する際などに用いられます.
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逆行列補題
逆行列補題(または Sherman-Morrison-Woodbury 公式)とは,次のようなものである.
逆行列補題(inverse matrix lemma)
を,を,をの行列(matrix)とし,をの単位行列(unit matrix)とすると,次の等式が成り立つ:(1)
ただしはの逆行列(inverse matrix)である.□
逆行列補題の証明
(2)
などとおく.
を示すことができれば,すなわち上の逆行列補題(1)を示したことになる.
(i) の証明
上式右辺の部分を展開する:
を展開する:
右辺第1項,第3項で とする:
上式の下線部に注意して右辺第2項と第3項をまとめる:
右辺第2項でのようにして,上式の下線部をの外に出す:
右辺第2項を整理するとなので
となり,右辺第2項と第3項が相殺する.よって
を得る.
(ii) の証明
(i)と同様にして,を示すことができる:
(i),(ii)より,である.
よって逆行列補題(1)が証明された.■
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