アーラン確率変数X1,X2の和Y:=X1+X2が再びアーラン分布に従うこと,すなわちアーラン分布が再生性を持つことを示します.
【スマホでの数式表示について】
アーラン分布の再生性(reproductive property of the Erlang distribution)
2つの確率変数がそれぞれパラメータのアーラン分布(Erlang distribution)
(1)
に従うとき,2つの確率変数の和はパラメータのアーラン分布
(2)
に従う.□
準備
(3)
が成り立つ.実際,
(4)
となる.
証明
2つの確率変数の和の確率密度関数は,もとの確率密度関数の畳み込み(convolution)を計算することで求められる[2つの確率変数の和の分布の求め方は こちら].すなわち
(5)
(6)
上式最後の積分は,とおけば,式(3)と同じ式なので,
(7)
(8)
を得る.
Remark 1
式(7)左辺のを,で変数変換すると,
(9)
を得る.これと式(7)と合わせて,上式最後の積分は
(10)
となることが分かる.式(10)のをそれぞれなるに置き換えた式
(11)
は,ベータ関数と呼ばれ,階乗の一般化であるガンマ関数を用いて
(12)
と書くことができる.これは式(10)の一般化に他ならない.
Remark 2
アーラン分布について,を実数とし,階乗をガンマ関数で置き換え,とすると,これはガンマ分布に帰着する.本稿で述べた再生性は,ガンマ分布でも同様に成り立つ.[ガンマ分布の再生性の証明は こちら]
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