指数分布の和はアーラン分布となることを証明する/アーラン分布の導出【確率論】

指数分布に従う独立な確率変数の和はアーラン分布に従うこと,すなわちアーラン分布は指数分布の和の分布として導出されることを示します.指数分布およびアーラン分布は待ち行列理論において頻出します.

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指数分布の和の分布はアーラン分布である

n個の独立な確率変数X_1,...,X_i,...,X_n\;(n\in {\mathbb N})がそれぞれパラメータ\lambdaの指数分布(exponential distribution)

(1)   \begin{equation*} \text{pdf : } \; f_{X_i}(x_i) = \lambda e^{-\lambda x_i}  \qquad (i = 1,...,n)  \end{equation*}

に従うとき,このn個の指数確率変数の和Y:= \sum_{i=1}^n X_iはパラメータ(n,\lambda)のアーラン分布(Erlang distribution)

(2)   \begin{equation*} \text{pdf : } \; f_Y(y) = \frac{ \lambda^n y^{n-1} e^{-\lambda y} }{ (n - 1)! } \end{equation*}

に従う.□

 

準備

2つの確率変数の和Y=X_1+X_2の確率密度関数f_Yは,もとの確率密度関数f_{X_1}, f_{X_2}の畳み込み(convolution)を計算することで求められる[2つの確率変数の和の分布の求め方は こちら].すなわち

(3)   \begin{equation*} f_Y(y) = \int_0^y f_{X_1}(x)f_{X_2}(y-x)dx  \end{equation*}

を計算すればよい.

 

証明

命題は,畳み込みに関する数学的帰納法を用いて証明される.

(i) n=1のとき

n=1のとき命題が成り立つこと,すなわちn=1のアーラン分布が指数分布に一致することを示す.

アーラン分布の確率密度関数(2)でn=1とすると,0!=1に注意すれば,

(4)   \begin{equation*} f_Y(y) = \frac{ \lambda^1 y^{0} e^{-\lambda y} }{ 0! } =\lambda e^{-\lambda y} \end{equation*}

となり,指数分布の確率密度関数(1)に帰着する.したがってn=1のとき命題は成り立つ.

(ii) n=2のとき

n=2のとき命題が成り立つことを示す.

指数分布の確率密度関数(1)を,畳み込み(3)に代入すると,

(5)   \begin{eqnarray*} f_Y(y)  &=& \int_0^y f_{X_1}(x)f_{X_2}(y-x)dx \\ &=& \int_0^y \lambda e^{-\lambda x} \cdot \lambda e^{-\lambda (y-x)} dx \\ &=& \int_0^y \lambda^2 e^{-\lambda y} \cdot e^{-\lambda x} \cdot e^{\lambda x} dx \\ &=& \lambda^2 e^{-\lambda y} \int_0^y dx \\ &=& \lambda^2 e^{-\lambda y} \cdot \big[\;x\;\big]_0^y \\ &=& \lambda^2 ye^{-\lambda y} \end{eqnarray*}

を得る.上式(5)は,アーラン分布の確率密度関数(2)でn=2としたものに他ならない.したがってn=2のとき命題は成り立つ.

(iii) n>2のとき

n=k \ge 2のとき命題が成り立つと仮定すると,n=k+1のときもまた命題が成り立つことを示す.

指数分布の確率密度関数(1)およびn=kとしたアーラン分布の確率密度関数(2)を畳み込み(3)に代入すると,

(6)   \begin{eqnarray*} f_Y(y)  &=& \int_0^y f_{X_1}(x)f_{X_2}(y-x)dx \\ &=& \int_0^y \frac{ \lambda^k x^{k-1} e^{-\lambda x} }{ (k - 1)! } \cdot  \lambda e^{-\lambda (y-x)} dx \\ &=& \frac{ \lambda^{k+1} }{ (k - 1)! } \int_0^y x^{k-1} e^{-\lambda x}  \cdot e^{-\lambda y}\cdot e^{\lambda x} dx \\ &=& \frac{ \lambda^{k+1} e^{-\lambda y} }{ (k - 1)! } \int_0^y x^{k-1} dx \\ &=& \frac{ \lambda^{k+1} e^{-\lambda y} }{ (k - 1)! } \cdot \left[\; \frac1k x^k \;\right]_0^y \\ &=& \frac{ \lambda^{k+1} y^k e^{-\lambda y} }{ k\cdot (k - 1)! }  \\ &=& \frac{ \lambda^{k+1} y^k e^{-\lambda y} }{ k! }  \end{eqnarray*}

を得る.上式(6)は,n=k+1としたアーラン分布の確率密度関数(2)に他ならない.したがってn\ge 2のとき命題は成り立つ.

以上,(i)~(iii)より,一般のn\in{\mathbb N}について命題が成り立つ.□

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