指数分布に従う独立な確率変数の和はアーラン分布に従うこと,すなわちアーラン分布は指数分布の和の分布として導出されることを示します.指数分布およびアーラン分布は待ち行列理論において頻出します.
【スマホでの数式表示について】
指数分布の和の分布はアーラン分布である
個の独立な確率変数
がそれぞれパラメータ
の指数分布(exponential distribution)
(1) ![]()
に従うとき,この
個の指数確率変数の和
はパラメータ
のアーラン分布(Erlang distribution)
(2) ![]()
に従う.□
準備
2つの確率変数の和
の確率密度関数
は,もとの確率密度関数
の畳み込み(convolution)を計算することで求められる[2つの確率変数の和の分布の求め方は こちら].すなわち
(3) ![]()
を計算すればよい.
証明
命題は,畳み込みに関する数学的帰納法を用いて証明される.
(i) n=1のとき
のとき命題が成り立つこと,すなわち
のアーラン分布が指数分布に一致することを示す.
アーラン分布の確率密度関数(2)で
とすると,
に注意すれば,
(4) ![]()
となり,指数分布の確率密度関数(1)に帰着する.したがって
のとき命題は成り立つ.
(ii) n=2のとき
のとき命題が成り立つことを示す.
指数分布の確率密度関数(1)を,畳み込み(3)に代入すると,
(5) ![]()
を得る.上式(5)は,アーラン分布の確率密度関数(2)で
としたものに他ならない.したがって
のとき命題は成り立つ.
(iii) n>2のとき
のとき命題が成り立つと仮定すると,
のときもまた命題が成り立つことを示す.
指数分布の確率密度関数(1)および
としたアーラン分布の確率密度関数(2)を畳み込み(3)に代入すると,
(6) ![]()
を得る.上式(6)は,
としたアーラン分布の確率密度関数(2)に他ならない.したがって
のとき命題は成り立つ.
以上,(i)~(iii)より,一般の
について命題が成り立つ.□


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