確率論における期待値(平均)・分散・標準偏差の定義と計算方法を示します.期待値は確率密度関数(または確率質量関数)が与えられたときに,その引数との積の積分(または総和)として計算されます.期待値は,統計学における平均(標本平均)とは区別される概念です.
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確率論における期待値(expected value) あるいは 平均(mean)
連続確率変数の期待値の定義
(1)
ただし,はの台(support) である.
連続確率変数の期待値の求め方:例.指数分布の期待値
(2)
(3)
となる.
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正規分布の期待値(平均),分散,標準偏差 を計算する【確率論】
指数分布の期待値(平均),分散,累積分布関数を計算する【確率論】
離散確率変数の期待値の定義
離散確率変数の期待値の求め方:例.ポアソン分布の期待値
(5)
で与えられる.ただし, である.したがって,ポアソン分布の期待値は
(6)
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ポアソン分布の計算:期待値(平均),分散,標準偏差の求め方【確率論】
二項分布の計算:期待値(平均),分散,標準偏差の求め方【確率論】
確率論における分散(variance)
確率変数の分散の定義
(7)
ただし, は確率変数 の期待値である.
分散は, が連続確率変数の場合も離散確率変数の場合も,ともに式(7)で定義される.
なお,分散は,しばしば式 (7) を変形して
(8)
とすることにより,具体的な問題で分散の値が計算しやすい場合がある.
定義式(7) にある通り,分散とは「確率変数 と その期待値 との偏差 の2乗の期待値」である.
偏差 は, の値の「期待値(平均) からのズレ」を表す.また,偏差を2乗することにより, は,偏差の正負を消して「 からのズレの大きさ」を表す.さらに,その期待値(平均)をとることにより, は「 からのズレの大きさの期待値」すなわち「 を中心とした の値のバラつきの程度」を表す.
確率変数の分散の計算方法
分散の定義式 (7) から 式 (8) への変形を以下に示す.
(9)
(10)
などを用いた.
連続確率変数の分散の求め方:例.指数分布の分散
指数分布の確率密度関数は
で与えられ,である.また,期待値は式(3)より
(11)
となる.
確率論における標準偏差(standard deviation)
確率変数の標準偏差の定義
(12)
ただし, は確率変数 の分散である.
標準偏差は, が連続確率変数の場合も離散確率変数の場合も,ともに式(12)で定義される.
定義式(12) にある通り,標準偏差とは,分散 の非負平方根である.標準偏差もまた,「 を中心とした の値のバラつきの程度」を表すが, と単位(個,kg,m など)の次元が一致する.
連続確率変数の標準偏差の求め方:例.指数分布の標準偏差
指数分布の分散は,式(11)より
(13)
(14)
となる.
確率論における「平均」と統計学における「平均」
確率論における「平均(期待値)」と 統計学における「平均」は,それぞれ異なる仕方で定義される,別の概念である(ただし,両者には密接な関連がある).
確率論と統計学の各分野における平均概念の違い
確率論(probability theory),および統計学(statistics)の各分野(推計統計(inferential statistics),数理統計学(mathematical statistics),記述統計(descriptive statistics),ベイズ統計(Bayesian statistics))において,それぞれに「平均」概念があり,深い関連性がありながら,異なる定義と用法を持つ.
統計学における平均についての詳細は別項とするが,要点を下表に示す.
「分散」についても,「平均」と同様,確率論と統計学において,それぞれの定義がある.
「平均」の英語:expected value/expectation, mean, average
確率論と統計学で「平均」に類する術語の定義に用いられるのは,「期待値(expected value または expectation) 」および「平均(mean)」である.
「average」は日常で用いられる口語としての「平均」の意味合いに近く,術語(technical term)としては,あまり用いない.
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