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ポアソン分布とは何か
ポアソン分布(Poisson distribution)は,期待値および分散に対応する1つのパラメータ によって一意に定まる,離散確率分布(discrete probability distribution)の一種である.
(1)
(2)
で与えられるとき,が従う確率分布を,パラメータのポアソン分布(Poisson distribution)という.
(3)
などと略記する.
ポアソン分布の確率質量関数とそのグラフ
定義(1)に示した通り,ポアソン分布の確率質量関数(probability mass function; PMF) は,次式である.
ポアソン分布の確率質量関数(1)グラフの概形を以下に示す.
ただし,ポアソン分布は離散確率分布であるから,値を取るのは上のグラフのマーカーの位置(すなわちの位置)のみであるが,グラフの概形を把握しやすくするため,マーカー間を点線でつないだ.
ポアソン分布の累積分布関数とそのグラフ *
一般に,離散確率変数の累積分布関数(cumulative distribution function; CDF) は,の値が以下である確率を与える関数であり,確率質量関数 に対して
(4)
の関係にある.ただし,はの最小元とする.
式(1)および式(4)より,ポアソン分布の累積分布関数(cumulative distribution function; CDF) は次式のようになる.
(5)
ポアソン分布の累積分布関数(5)のグラフの概形を以下に示す.
ポアソン分布の期待値と分散
ポアソン確率変数の期待値(expected value),分散(variance),標準偏差(standard deviation)は,それぞれ
(6)
(7)
(8)
となる.
期待値および分散を求めるための計算の詳細については,下記の関連ページを参照のこと.
関連ページ:
ポアソン分布の計算:期待値(平均),分散,標準偏差の求め方【確率論】
ポアソン分布の積率母関数(モーメント母関数)
ポアソン分布 に従う確率変数の積率母関数(moment generating function)は,次式で表される関数 である.
(9)
式(9)は,ポアソン分布の確率質量関数(1)の逆ラプラス変換によって得られる.導出の詳細については,下記の関連ページを参照のこと.
関連ページ:
ポアソン分布の特性関数
ポアソン分布 に従う確率変数の特性関数(characteristic function)は,次式で表される関数 である.
(10)
ただし,は虚数単位である.
式(10)は,ポアソン分布の確率質量関数(1)のフーリエ逆変換によって得られる.導出の詳細については,下記の関連ページを参照のこと.
関連ページ:
ポアソン分布のキュムラント母関数
ポアソン分布 に従う確率変数のキュムラント母関数(cumulant generating function)は,次式で表される関数 である.
(11)
式(11)は,ポアソン分布の積率母関数(9)の対数を取ることよって得られる.
関連ページ:
特性関数・積率母関数(モーメント母関数)・キュムラント:定義と意味,期待値(平均)・分散との関係【確率論】
ポアソン分布と二項分布
二項分布の確率変数について,は一定,という条件の下で,試行回数が十分大きいとき,は近似的にポアソン分布 に従う.
(12)
と,ポアソン分布 の確率質量関数
(13)
が成り立つ.
二項分布のポアソン分布近似に関する,より詳しい計算については,下記の関連ページを参照のこと.
関連ページ:
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