ロンスキアン(ロンスキー行列式)を用いた,関数の線形従属・線形独立(1次従属・1次独立)の証明について説明します.
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ロンスキアン(ロンスキー行列式)の定義
2つの微分可能な関数に対して,ロンスキアンは次のように定義される.
(定義1)ロンスキアン(ロンスキー行列式):2関数の場合
区間 

(1)
なる行列式で定義される 上の関数
を,ロンスキアン(Wronskian)あるいはロンスキー行列式(Wronski determinant)という.
より一般には,個の微分可能な関数に対して,ロンスキアンは次のように定義される.先の定義1は,次の定義2で
としたものとなる.
(定義2)ロンスキアン(ロンスキー行列式):n関数の場合
区間 



(2)
なる行列式で定義される 上の関数
を,ロンスキアン(Wronskian)あるいはロンスキー行列式(Wronski determinant)という.
ロンスキアン(ロンスキー行列式)と関数の線形独立・線形従属の関係
関数 の線形独立性・線形従属性と,それらのなすロンスキアン
には,次の関係がある.
(命題)関数の線形独立・線形従属とロンスキアンの関係



- (命題1)
と
は線形従属 ⇒
- (命題2)
⇒
と
は線形独立
なお,これら2つの命題は,互いに対偶の関係にあり,同値であるから,証明はどちらかを示せば十分である.以下に命題1を示す.
(証明:命題1)f と g は線形従属 ⇒ W(f,g) = 0
と
は線形従属
sin(正弦)とcos(余弦)が線形独立であることの証明
2つの関数が線形独立であることを証明する例題として,前節の命題1を用いて次の命題を示す.
(命題)sin(正弦)とcos(余弦)の線形独立性







(3)
と計算できる.すなわち において
であるから,
と
は互いに線形独立である.
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