常微分方程式の定義を述べ,常微分方程式の正規形,一般解と特解(特殊解),常微分方程式と偏微分方程式の違い,などについて説明します.
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常微分方程式の定義
常微分方程式の定義



(1)
(2)
などとする.このとき, について,恒等的に成り立つ次の関係式
(3)
を,関数 に関する n 階常微分方程式(
-th-order ordinary differential equation)という.
また,式(9)を満たす関数 をこの微分方程式の解(solution)といい,この解を求めることを微分方程式を解く(solve the differential equation)という.
常微分方程式の正規形
階常微分方程式(9)を,適当な式変形によって最高階微分項(
階微分項:
)とその他の項(
階以下の微分項:
)を分離し,
(4)
のように書いたとき,これを 階常微分方程式正規形(normal form)という.
常微分方程式の解:一般解と特解
常微分方程式を解くということは,大まかに言って,その方程式を適切に積分して,方程式に含まれる微分演算子を消去することである.
したがって,常微分方程式の解には,その関数の中に積分定数(integral constant)が現れる(1階常微分方程式であれば積分1回分で1個の定数が現れ,2階常微分方程式であれば積分2回分で2個の定数が現れる).
解に含まれる積分定数( とする)について,具体的な数値が不定のままの任意定数とした場合,この解を常微分方程式の一般解(general solution)という.言い換えれば,常微分方程式の一般解は,変数
に関する関数の族(family)
(5)
となる( は適当な係数体).
また,常微分方程式の一般解が得られているとして, のときの
の値が
(6)
のように与えられたとする( は具体的な数値).このとき,連立方程式(6)を解くことにより,一般解に含まれる不定な積分定数
の値が,ある具体的な値
として定まる.言い換えれば,元の常微分方程式の一般解となる関数族の中から,条件式(6)を満たすようなひとつの関数
(7)
が得られる.このようにして得られた関数(常微分方程式の解のひとつ)を,特解あるいは特殊解(particular solution)という.また,特解を求めるために与えられた条件式(6)を初期条件(initial conditions)といい,これを解いて特解を得る問題を初期値問題(initial value problem)という.
常微分方程式と偏微分方程式の違い
ある微分方程式について,その解となる関数 の独立変数がひとつ(
のみ)であるとき,この微分方程式を常微分方程式(ordinary differential equation)という.
他方,微分方程式の解となる関数の独立変数が2つ以上であるとき,すなわち解が引数 を持つ多変数関数
(8)
であるとき,これを解として持つような微分方程式を,偏微分方程式(partial differential equation)という.偏微分方程式は,一般に次のような形式を持つ.
(9)
- 常微分方程式:解の独立変数がひとつ
- 偏微分方程式:解の独立変数が2つ以上
常微分方程式と偏微分方程式を総称して,単に微分方程式(differential equation)という.
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